ミリ波レーダーとは?

MILLIMETER WAVE RADAR

RF信号とIF信号

RF & IF

レーダーが送受信している信号をRF信号といいます。RF信号として使用可能な周波数は各国の法律で決められています。例えば24GHz、60GHz、79GHzなどです。一方、数十GHzの受信波を解析するのは大変ですので、扱いやすいようにミキサを使用して低い周波数に変換します。この変換後の信号をIF信号といいます。

ドップラーレーダーの例

主な測定方法

MEASURING METHOD

IF信号を解析することで、レーダーの前にある“何か”の情報を得ることができます。IF信号は“何か”の状態の他、自身が送信するRF信号によっても変化します。ここでは主な測定方法として、パルス方式、ドップラー方式、FMCW方式の3つをご紹介します。

測定方式01

パルス方式

パルス方式は送信した電波が“何か”に反射して帰ってくるまでの時間で、“何か”までの距離を測る方式です。電波を送信した後は停波し、反射波の受信を待ちます。やまびこに似ています。やまびこが声であるのに対し、レーダーは電波です。

パルス方式の測定方式

測定方式02

ドップラー方式

ドップラー方式は、動いている“何か”の速度が測れる方式です。CW方式とも言います。送信した電波の周波数は、動いている“何か”に反射すると、その速度に比例して周波数が増減します。これは救急車が通り過ぎる時のドップラー効果と似ています。RF信号とIF信号の説明の図がドップラー方式の図です。送信周波数は一定です。動いている“何か”に反射して周波数が変化した受信波から、ミキサによって送信波の周波数を引くことで、変化した周波数だけがIF信号に現れますので、この周波数により“何か”の速度が測れます。ドップラー方式では人の呼吸といった微量の動きも測ることができる反面、“何か”までの距離を測ることはできません。

ドップラー方式の測定方式

測定方式03

FMCW方式

FMCW方式は、送信する周波数を変化させながら、“何か”に反射して帰ってきた受信波の周波数から、“何か”の距離と速度を測る方式です。送信周波数を常に変化させているので、受信波の周波数が判れば、それが何秒前に送信した周波数であるのかが判りますので、そこから距離を測 ることができます。ここで送信する周波数を一定の値で増加させていた場合、受信波の周波数から、受信したときの送信波の周波数を引くことで、反射して帰ってくるまでの送信周波数の変化量が判り、この変化量から距離を測ることができます。この変化量をビート周波数と呼びます。

FMCW方式の測定方式

ところがドップラー方式の説明にあるように、“何か”が動いている場合、その速度によっても受信周波数が変化しますので、実際のビート周波数は“何か”の距離だけではなく、速度も影響していることになります。これを解決するためには、送信する周波数を増加させながら測定したビート周波数と、減少させながら測定したビート周波数の両方を解析することで、距離と速度を求めることができます。これは2次方程式を解くためには式が2つあればよいのと同じです。

FMCW方式の測定方式

一方で、“何か”の速度がビート周波数に与える影響は速度に比例するのに対し、距離がビート周波数に与える影響は送信周波数の増加速度です。送信周波数の増加速度を速くすることで、“何か”の速度がビート周波数に与える影響を小さくする方法もあり、ファーストチャープと呼ばれています。

測角

ANGLE MEASUREMENT

“何か”がどこにあるのかを知るためには、距離と角度の情報が必要です。角度を測ることを測角と呼びます。測角を行う方式として、レーダー(アンテナ)を物理的に動かす方式や、フェイズドアレイ型のアンテナを使用したもの、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナを持つMIMO方式のものがありま す。

レーダーの利点

ADVANTAGE

“何か”の情報を得るためのものはレーダーだけではありません。特に近距離や中距離といった用途では、赤外線センサ、超音波センサ、カメラ、LIDARなどがあります。レーダーが他のセンサより優れている点としては、測定環境に左右されにくいという点があります。例えば、測定時の明るさであったり、温度や、背景の模様などの影響、霧、雨、雪といった天候による影響を受けにくいという点です。得られる情報はカメラのように個人が特定できるようなものではありませんので、トイレ、浴室といったプライバシーの問題がある場所で使用することができます。また、センサー用に窓を設ける必要はありません。このことは製品のデザインに自由度を与えます。自動車であればエンブレムの裏にセンサーを隠すことができます。トイレであれば黒い窓を用意する必要はありません。

レーダー 赤外線 超音波 カメラ LIDAR
近距離検出(2m以下)
中距離検出(2〜30m)
長距離検出(30m以上)
距離検出
速度検出
角度検出
環境耐性
製品デザインの自由度
大きさ
価格